Statement

鉄道は、線路から離れて走ることはできない。
私という人間も同様に、運命というレールから逃れることはできない。
まっすぐ進もうとする列車を、線路が左へ折り曲げる。
このようにありたいと思う私を、運命が右へ退ける。
鉄道と人生は、似た者同士である。

山を越え、谷をかき分け、走り続けたその先にある終着駅。
まだ見えぬ私の終着駅はどこにあるのだろう。
目の前をかすめるヘッドライト、轟音を立てて走り去る列車。
遠ざかるテールライト、輝く二本のレール。その向こうから忍び寄る焦燥…。

私にとって鉄道写真とは、自身の今と未来を見つめるものである。
未来は遠く揺らいでも、生きる今には美しい世界がある。
鉄道とそれを彩るものたちは、そんなことを教えてくれる。
ふと足元を見れば、一輪の花がそよ風に揺れている。
車窓には、昇り始めた太陽がまぶしい。
人生の片道切符に行先があるのだとしたらせめて、
ささやかな旅の思い出として、ここに置いていこうと思う。

大橋史明